ゼロクエスト ~第2部 異なる者
『もしこれが外へ出た時に、周辺にいる下位クラスの魔物を取り込み続けてしまったなら、被害はこの付近だけでは済まなくなるだろう』
彼の言葉を思い出していた。
私は地面を踏みしめるように歩き出す。
が。
何者かに左足を捕まれ、勢いよく顔面から倒れ込んでしまった。
私は擦り剥けた鼻の頭を押さえると、衝撃で涙の滲んでしまった瞳を後ろへ向けた。
そこにはアレックスがいた。
俯せの状態で、私の足首を掴んでいる。
「君は……何処へ……」
彼は荒い呼吸を繰り返し、血の気の失せた顔には大量の汗も流していた。
しかし起こした碧瞳は、私を真っ直ぐに捉えている。
「私は」
その瞳に答える。
「私はみんなを助けに行く」