ゼロクエスト ~第2部 異なる者
アレックスは『そんなつもり』で言ったわけではないと思う。
当然私にも分かっていた―――分かってはいるのだが。
「べっ、べッべべべべべべ別に……っ、ちっとも凄くなんかないわよッ」
私は何となく見られたくなくて、慌てて顔を逆方向へ逸らしていた。
「そ、そそれにッ、それを言うならあんただって。
自分の信念を貫こうと、一生懸命努力しているじゃない。
そりゃ、多少暴走気味になるところもあるけれど、それがアレックスだもの。
だから役目を私に押し付けたなんて思わずに、いつもみたいに堂々と、胸を張っていればいいのよ!」
続けて彼は何かを言ったようだが、その声は下から唸る風の音に掻き消されて聞こえなくなっていた。
私たちは既に瘴気の中へ入り込んでいた。
ようやく中心へ近付くことができたのだ。
先程までならその風に飲み込まれ、外へ放り出されるところだ。
しかし今回はこの場所に留まっている。
やはり思った通りだ。
私一人では、体重が軽すぎたのだ。
身体も支えられず、下から吹き上げる風に抵抗できなかった。
当然私にも分かっていた―――分かってはいるのだが。
「べっ、べッべべべべべべ別に……っ、ちっとも凄くなんかないわよッ」
私は何となく見られたくなくて、慌てて顔を逆方向へ逸らしていた。
「そ、そそれにッ、それを言うならあんただって。
自分の信念を貫こうと、一生懸命努力しているじゃない。
そりゃ、多少暴走気味になるところもあるけれど、それがアレックスだもの。
だから役目を私に押し付けたなんて思わずに、いつもみたいに堂々と、胸を張っていればいいのよ!」
続けて彼は何かを言ったようだが、その声は下から唸る風の音に掻き消されて聞こえなくなっていた。
私たちは既に瘴気の中へ入り込んでいた。
ようやく中心へ近付くことができたのだ。
先程までならその風に飲み込まれ、外へ放り出されるところだ。
しかし今回はこの場所に留まっている。
やはり思った通りだ。
私一人では、体重が軽すぎたのだ。
身体も支えられず、下から吹き上げる風に抵抗できなかった。