ゼロクエスト ~第2部 異なる者
これはまずい。
ルティナが逃亡したのだ。見つかったらまずいに決まっている。
「あ、えーっと、その……」
私が冷や汗を流しつつ宙に視線を彷徨わせ、必死で上手い言い訳を考えていると。
「ルティナ・マーキスは、どうやら逃亡したようだな」
騎士様たちの背後から、穏やかな低音が聞こえてきた。
間から顔を出してきたのはマクガレー団長と、フードを外した姿のディーンだった。
彼らが入って来ると騎士様たちは、緊張の面持ちで姿勢を正した。
その間を厳しい表情で通り抜けた団長は、驚いて固まっていた私たちの側までやってくる。
そして窓枠に手を掛け、外を見下ろした。
「……やはりな」
そう呟いた彼は静かに窓を閉めると、続けて無言で手を振り、背後に控えていた部下二人を退室させた。
すると一転。彼はにこやかな表情をこちらに向けながら、口を開く。
「では改めて君たちに、少し質問をさせてもらおうかな。
何、実に簡単なものだから、そのままリラックスして答えてくれても構わないよ」
彼は私たちを一通り見回しながら、そう切り出してきた。
(リラックスと言われても、ねぇ)
団長は愛想の良い笑顔をこちらへ向けていた。
が、それが私の目には不気味に映っていた。
何故ならこの前と同様、ダークグレーの瞳が、完全に笑ってはいなかったからだ。
ルティナが逃亡したのだ。見つかったらまずいに決まっている。
「あ、えーっと、その……」
私が冷や汗を流しつつ宙に視線を彷徨わせ、必死で上手い言い訳を考えていると。
「ルティナ・マーキスは、どうやら逃亡したようだな」
騎士様たちの背後から、穏やかな低音が聞こえてきた。
間から顔を出してきたのはマクガレー団長と、フードを外した姿のディーンだった。
彼らが入って来ると騎士様たちは、緊張の面持ちで姿勢を正した。
その間を厳しい表情で通り抜けた団長は、驚いて固まっていた私たちの側までやってくる。
そして窓枠に手を掛け、外を見下ろした。
「……やはりな」
そう呟いた彼は静かに窓を閉めると、続けて無言で手を振り、背後に控えていた部下二人を退室させた。
すると一転。彼はにこやかな表情をこちらに向けながら、口を開く。
「では改めて君たちに、少し質問をさせてもらおうかな。
何、実に簡単なものだから、そのままリラックスして答えてくれても構わないよ」
彼は私たちを一通り見回しながら、そう切り出してきた。
(リラックスと言われても、ねぇ)
団長は愛想の良い笑顔をこちらへ向けていた。
が、それが私の目には不気味に映っていた。
何故ならこの前と同様、ダークグレーの瞳が、完全に笑ってはいなかったからだ。