ゼロクエスト ~第2部 異なる者
「ところで〜お二人に質問なんですが〜、アレックスさんが使っていた剣は〜もしかして〜貴重なものだったりするのですか〜?」

「ああ、そうだよ。歴史あるケイン村で、代々保管されてきたものだからね。
それをこのバカ……アレックスが無断で勝手に、村の外へ持ち出したというわけさ」

「では〜相当な値打ち物ということですか〜?」

「俺はそういうのにはあまり詳しくはないが……まあ、そうなるのかな。
リアからは、値が付けられないほどの価値はあるはずだから大切に保管をするようにと、きつく注意されていたな。
もっとも、責任者は村長ということにはなっているけれど、今実際に管理しているのは、専門家であるリアなんだが」

「じゃあリアが、黙って村を出て行ったアレックスに対して、怒っているというのは……」

「それも原因の一つではあるのだけれど、自分が管理しているはずの宝剣が知らぬ間に――しかも一番身内の実兄によって、盗まれたことにも起因している。
あ、ひょっとしたら、そっちが一番の理由かもしれないな。
剣が無傷で戻ってくるのなら、多少は大目に見てくれるとも思っていたのだけれどね」

「……………」

眉を顰めているディーンを見詰めながら、私は一筋の汗が頬を伝っていくのを感じていた。
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