ゼロクエスト ~第2部 異なる者
私は突然起きたその光景が信じられず、呆然と見ているしかなかった。が、足元に何かがぶつかったので、反射的に下を向いていた。
それは頭部。
仰向けで白目を剥いた男の顔がそこにはあった。
切断された首からは血が吹き出し、地面へ広がりつつある。
私はそれを見た途端、自分の意識が何処かへ吹き飛ばされるような感覚がした。気がついた時には尻もちを付き、動けないでいる。
その時点で刻が止まったままの男の顔。地面と垂直に向いているそれが、恨めしそうな表情で虚空を見ていた。
どくん……どくん……。
全身を駆け巡るかのように、鼓動も自然と速くなっていた。
自分の身体なのに自分のものではないような感覚。動かし方を忘れているような気さえする。
尻もちを付いたままの私は、男の頭部から視線を逸らすことができなかった。
だがそれは不意に、宙へと浮かんだ。私も自然とその軌道を追っていたが、よく見れば浮かんでいたのではない。
血に染まった指なし手袋(グローブ)を嵌めた褐色の細い指が、男の髪を乱暴に掴んでいたのだ。
私は呆然と持ち主をそのまま見上げていた。
それは頭部。
仰向けで白目を剥いた男の顔がそこにはあった。
切断された首からは血が吹き出し、地面へ広がりつつある。
私はそれを見た途端、自分の意識が何処かへ吹き飛ばされるような感覚がした。気がついた時には尻もちを付き、動けないでいる。
その時点で刻が止まったままの男の顔。地面と垂直に向いているそれが、恨めしそうな表情で虚空を見ていた。
どくん……どくん……。
全身を駆け巡るかのように、鼓動も自然と速くなっていた。
自分の身体なのに自分のものではないような感覚。動かし方を忘れているような気さえする。
尻もちを付いたままの私は、男の頭部から視線を逸らすことができなかった。
だがそれは不意に、宙へと浮かんだ。私も自然とその軌道を追っていたが、よく見れば浮かんでいたのではない。
血に染まった指なし手袋(グローブ)を嵌めた褐色の細い指が、男の髪を乱暴に掴んでいたのだ。
私は呆然と持ち主をそのまま見上げていた。