ゼロクエスト ~第2部 異なる者
「まだ分からないのか?
人間の術攻撃をまともに喰らったら、お前は確実に即死なんだぞ」
「何故俺が人に攻撃をされるのだ?
俺は魔物ではなく同じヒトではないか。恨まれる憶えもないぞ」
「いや、そんな意味じゃない。
討伐隊というのは様々な術士たちが集まった、あまり統率が取れているとは言い難い寄せ集めの集団だ。今回は特に一つの部隊で人数も多く投入されるだろうし、乱戦も予想される。
その時に術士の攻撃が、うっかり当たってしまうことだってあるだろ」
「うっかり? ……避ければいいのではないか」
「簡単に避けられればいいが、乱戦時には確実に避けられるとは限らないんだよ。
お前はまだ経験がないから分からないだろうが、敵に囲まれた場合、皆他人のことなんかを気にしている余裕はないのさ。気を抜いた時点で殺られるからな。
相手が敵じゃないとしても、誤って味方から攻撃をされてしまうことだってある」
私にもまだそのような経験はない。しかし父からは戦場とはどういうものなのかを、色々と聞かされていたから何となく分かる。
アレックスは顎に手を当てて宙を見詰め、考え込んでいる様子だった。
人間の術攻撃をまともに喰らったら、お前は確実に即死なんだぞ」
「何故俺が人に攻撃をされるのだ?
俺は魔物ではなく同じヒトではないか。恨まれる憶えもないぞ」
「いや、そんな意味じゃない。
討伐隊というのは様々な術士たちが集まった、あまり統率が取れているとは言い難い寄せ集めの集団だ。今回は特に一つの部隊で人数も多く投入されるだろうし、乱戦も予想される。
その時に術士の攻撃が、うっかり当たってしまうことだってあるだろ」
「うっかり? ……避ければいいのではないか」
「簡単に避けられればいいが、乱戦時には確実に避けられるとは限らないんだよ。
お前はまだ経験がないから分からないだろうが、敵に囲まれた場合、皆他人のことなんかを気にしている余裕はないのさ。気を抜いた時点で殺られるからな。
相手が敵じゃないとしても、誤って味方から攻撃をされてしまうことだってある」
私にもまだそのような経験はない。しかし父からは戦場とはどういうものなのかを、色々と聞かされていたから何となく分かる。
アレックスは顎に手を当てて宙を見詰め、考え込んでいる様子だった。