ゼロクエスト ~第2部 異なる者
ディーンと別れた私たちは結局朝まで、ギルド裏手付近の外壁に並んで座り込んでいた。

ギルドでは私の予想通り野営場所を提供していたが、それは討伐隊参加者用のもので、私たちのような不参加者は門前払いだったのだ。それで仕方なくこの場所で一夜を明かすことにしたのである。

周囲には私たちのような状況の旅人が、かなりいるようだった。皆一様に膝を抱え、通りの片隅で仮眠していた。

それらの殆どの者は私たちと同じように、水の社へ向かう修行中の旅人なのだろうか。私より明らかに年の若そうな、弟のソーマと変わらないくらいの年頃の子供もいる。

力無き者は何処に行ってもこのように、冷遇されるものなのだ。

「エリスさん〜僕、待っている間に〜温泉巡りがしたいのですが〜」

「温泉? でも昨日は入れないかもって、言ってなかったっけ」

「混雑の予想はされるのですが〜でももしかしたら入れるかもしれないので〜その可能性にかけてみたくなりまして〜。
それにこの村には〜美声効果のある温泉もあるらしいので〜どうしても入りたいのです〜。
もし良かったらお二人も是非〜ご一緒にどうですか〜?」

エドが隣で、持っていた温泉マップをひらひらと動かしながら誘ってきた。

「温泉、ねぇ……アレックスはどうする?」
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