ゼロクエスト ~第2部 異なる者
「こちら側からも、魔物が徐々に集まり始めているとの報告がある。
それを受けてフィオス町方面だけでなく、この近辺一帯もモンスター・ミストが消えるまでは、一時的に封鎖することになった」

守衛は一旦言葉を区切ると、胡散臭いものを見るような目つきで私たちを見回した。

「何れにせよ、今外へ出るのは危険だ。デートをするのなら、この中ででもできるだろう」

「デ……!」

私はその言葉に絶句した。

私たちはどう見ても術士である。装備を外した普段の格好ならともかく、この姿でそんな侮辱を受けるのは心外だ。

私は反論しようと口を開きかけたのだが、ふとあることに気付いて下に視線を落とした。

先程混雑している温泉街を通った時、「また迷子にならないように」とアレックスが言ってきたのを思い出したのだ。そういえばその時から、手を繋いだままである。

(ん? あれ? この繋ぎ方って…)

それを見詰めながらここでまたもや、あることに気が付いた。

それは彼が推奨してきた「指の外れにくい繋ぎ方」だったのだが。

(そういえばこの繋ぎ方って、確か別名が……)
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