ゼロクエスト ~第2部 異なる者


!―――カップルつなぎ!?


私は実際にやったことはなかったが、街中で仲睦まじいカップルたちがこんな手の繋ぎ方をしているのを見かけたことがある。かなりウラヤマ……いやいやいや、目に付いていたから憶えている。

そのことに気が付いた私は急に恥ずかしくなって、無理矢理手を振り解いていた。

「ん? 突然どうしたのだ?」

「な、な、なんでもない…わよ」

私は思わず動揺してしまった。当然である。

昨日もエドとこのようにして街中で、ずっと手を繋いで歩いていたのだ。そして今日はアレックスと。

こんな風に繋いで歩き回っていたら、術士のコスプレをしている、ただの間抜けなカップルにしか見えない。何故もっと早くに気が付かなかったのだろうか。

「やはりどうしても、外へ出してはもらえないのか?」

私が頭を抱え込み、門の片隅で小さくなって反省していると、アレックスのほうはまだ諦めきれないのか、守衛に食い下がっている声が聞こえてきた。

「あんたもしつこいな。団長からは、鼠一匹通すなという命令が下っている。
もしどうしても外へ出たいというのであれば、討伐隊に参加するしかないな」

「! ……なるほど」

アレックスは何を思ったのか突然後ろを振り向くと、スタスタと反対方向へ歩き始めた。私は嫌な予感がした。

「アレックス……あんたまさか、討伐隊に参加しようなんて考えてないでしょうね」

「無論、参加する」

当然のことのように、きっぱりと言い放った。

やっぱり!
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