ゼロクエスト ~第2部 異なる者
「ではこちらとしても、本気を出させてもらおう……ボブ!」
レグはもう一人の名を呼んだ。
すると今までアレックスと戦っていた男が、突然レグの横へ姿を現していた。それは一瞬の出来事で、私にはいつ移動してきたのかが速すぎて見えなかった。
「アレックスさん〜大丈夫ですか〜?」
「ハッ、そうだアレックス!」
私はエドの声で我に返った。饅頭の数などを数えている場合ではなかったのだ。
駆け付けるとアレックスが、建物の背に凭れて倒れ込んでいた。私は素早く身体を調べる。
「どうやら、致命的な負傷はないみたいね」
腕や足など、防具で覆われていない部分が切り刻まれてはいたが、急所の外れている箇所ばかりであった。
「ククク…これから楽しくなるところだったんだがな」
ボブはおもむろに着ているマントを脱ぎ捨てた。
瞬間、なんと彼の形態が変わったのだ。先程まで覗いていた形相が緑色の鱗で覆われ、トカゲのような爬虫類系の容姿に変化したのである。
同様に横にいたレグも変わっていた。昨日殺された魔物と同じように、彼らもまた人間に化けていたのだ。
ボブがそのまま腕を上げると、辺りの「気」が一変したように感じられた。
夜でもないのに一瞬で暗くなる。
空から降り注いでいた陽の光が、厚い雲に覆われてしまったかのようだ。
しかし上を見上げれば雲一つない。なのに視界が突然、モノトーンに変異したのである。
肌がビリビリと痺れるほどに、張り詰められた気の流れ。
まるで異界にでも迷い込んでしまったかのような、明らかに異質な感覚。
レグはもう一人の名を呼んだ。
すると今までアレックスと戦っていた男が、突然レグの横へ姿を現していた。それは一瞬の出来事で、私にはいつ移動してきたのかが速すぎて見えなかった。
「アレックスさん〜大丈夫ですか〜?」
「ハッ、そうだアレックス!」
私はエドの声で我に返った。饅頭の数などを数えている場合ではなかったのだ。
駆け付けるとアレックスが、建物の背に凭れて倒れ込んでいた。私は素早く身体を調べる。
「どうやら、致命的な負傷はないみたいね」
腕や足など、防具で覆われていない部分が切り刻まれてはいたが、急所の外れている箇所ばかりであった。
「ククク…これから楽しくなるところだったんだがな」
ボブはおもむろに着ているマントを脱ぎ捨てた。
瞬間、なんと彼の形態が変わったのだ。先程まで覗いていた形相が緑色の鱗で覆われ、トカゲのような爬虫類系の容姿に変化したのである。
同様に横にいたレグも変わっていた。昨日殺された魔物と同じように、彼らもまた人間に化けていたのだ。
ボブがそのまま腕を上げると、辺りの「気」が一変したように感じられた。
夜でもないのに一瞬で暗くなる。
空から降り注いでいた陽の光が、厚い雲に覆われてしまったかのようだ。
しかし上を見上げれば雲一つない。なのに視界が突然、モノトーンに変異したのである。
肌がビリビリと痺れるほどに、張り詰められた気の流れ。
まるで異界にでも迷い込んでしまったかのような、明らかに異質な感覚。