ゼロクエスト ~第2部 異なる者
アレックスの師匠は上のお兄さんらしいのだが、放浪癖があるらしく、2年前に村を出て以来行方が分からないそうだ。
それにこれもディーン曰く「奴は人を教えるということに全く不向きな男だ。だからアレックスにはあまり、一般常識を教えることがなかった。もっとも、全てを彼に任せていた俺たちにも責任はあるのだが」ということである。
そのようなことをつい先日、フードを外したディーンがいつものように、爽やかな笑顔で話してくれていた。
「ところでエリス」
正気に戻ったらしいアレックスが何故か背けるように、顔を脇下のほうへ逸らしながら話し掛けてきた。
「そろそろ退いてはもらえないだろうか」
気が付けば私は胸倉を掴んだままで、彼の身体の上に乗っていたのだ。
「エリスさん〜アレックスさんをいきなり殴るなんて〜乱暴すぎます〜」
「なっ……だってこの場合、仕方がなかったのよ」
呆れたように眉を顰めるエドに対して私は勢いよく立ち上がると、慌てて反論する。
どうやら彼を説得するのに熱を入れすぎてしまったようだが、しかし今はそのような些細なことを気にしている余裕はない。
それにこれもディーン曰く「奴は人を教えるということに全く不向きな男だ。だからアレックスにはあまり、一般常識を教えることがなかった。もっとも、全てを彼に任せていた俺たちにも責任はあるのだが」ということである。
そのようなことをつい先日、フードを外したディーンがいつものように、爽やかな笑顔で話してくれていた。
「ところでエリス」
正気に戻ったらしいアレックスが何故か背けるように、顔を脇下のほうへ逸らしながら話し掛けてきた。
「そろそろ退いてはもらえないだろうか」
気が付けば私は胸倉を掴んだままで、彼の身体の上に乗っていたのだ。
「エリスさん〜アレックスさんをいきなり殴るなんて〜乱暴すぎます〜」
「なっ……だってこの場合、仕方がなかったのよ」
呆れたように眉を顰めるエドに対して私は勢いよく立ち上がると、慌てて反論する。
どうやら彼を説得するのに熱を入れすぎてしまったようだが、しかし今はそのような些細なことを気にしている余裕はない。