ゼロクエスト ~第2部 異なる者
上では3人――正確には1人と2匹だが――が、攻防戦を繰り広げていた。
まだ油断は出来なかったのだが、今はそれぞれ戦い方を変えているのか、落下物は最初の頃に比べてあまり落ちてきてはいない。
「結界、ですか〜」
「そう。さっきあの魔物の一匹が、この辺りに結界を張っていたのよね。
私の推測では恐らくこの場所と、あの後ろにある横道くらいの範囲だと思うわ。
……二人とも良く見ていて」
私はおもむろに右袖を捲り上げると、表通りへその腕を突き出した。すると入った肘から先の部分がすっぱりと、切断でもされたかのように消えていたのである。
彼らは予想した通り、再び目を丸くしていた。
「後ろを見て」
私は背後を振り向いた。
後ろにはかなり遠くまで一本道が続いている。エドが先程逃げてきた道だ。
間にはそれを分断するかのように横へ入る脇道も何本かあるのだが、一番近くにある脇道に奇妙なものが浮かんでいた。
人の掌である。
「あ、あれは……人の手!?」
「そうよ、正確には私の腕だけどね」
それは私の消えた部分だった。精霊石の嵌め込まれたブレスレットが手首で揺れているのが、真正面からでも見える。
まだ油断は出来なかったのだが、今はそれぞれ戦い方を変えているのか、落下物は最初の頃に比べてあまり落ちてきてはいない。
「結界、ですか〜」
「そう。さっきあの魔物の一匹が、この辺りに結界を張っていたのよね。
私の推測では恐らくこの場所と、あの後ろにある横道くらいの範囲だと思うわ。
……二人とも良く見ていて」
私はおもむろに右袖を捲り上げると、表通りへその腕を突き出した。すると入った肘から先の部分がすっぱりと、切断でもされたかのように消えていたのである。
彼らは予想した通り、再び目を丸くしていた。
「後ろを見て」
私は背後を振り向いた。
後ろにはかなり遠くまで一本道が続いている。エドが先程逃げてきた道だ。
間にはそれを分断するかのように横へ入る脇道も何本かあるのだが、一番近くにある脇道に奇妙なものが浮かんでいた。
人の掌である。
「あ、あれは……人の手!?」
「そうよ、正確には私の腕だけどね」
それは私の消えた部分だった。精霊石の嵌め込まれたブレスレットが手首で揺れているのが、真正面からでも見える。