ゼロクエスト ~第2部 異なる者
「それにしてもエリスさん〜よくこの空間が結界だって〜分かりましたね〜。もしかして閉じ込められたことでも〜あるのですか〜?」

「ううん、ないけど。話には聞いていたから」

「僕もお師匠様から〜話にだけは聞いたことがあったんですけど〜実際に体験したことがなかったので〜直ぐにはピンと来ませんでした〜。その冷静な判断力、流石です〜」

エドは例によって、顔をキラキラと輝かせている。

実のところ私にも、魔物の結界術がどういったものなのかは、あまり理解していなかった。

話に聞いていた状況と一致しているようだったので「もしかしたら…」と考えたのだが、私も実際に体験したことがなく、半信半疑だったのだ。

本当のことを言えば、最初に結界を通って二人の後ろ姿を見た時点で、腰が抜けるくらいには吃驚していたのである。

しかし彼らの慌てている姿を目にした途端、逆にそれが一気に萎えてしまったのだ。

「何事にも動じない〜強い心と冷静な判断力〜、同じ巡礼者として〜僕もエリスさんを見習わないといけませんね〜」

エドはまだ顔を輝かせてこちらを見詰めてきていた。
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