ゼロクエスト ~第2部 異なる者
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上を見上げれば、相変わらず風と闇が交差していた。
彼らが場所を移動しないのは、この空間がかなり狭いから移動できないのだと思う。ということは、この術を掛けたボブの力量がその程度、ということになってくる。
「私もあのルティナっていうモンクを、手伝うことができればいいんだけれど」
私は歯痒い気持ちを抱きながら、ぽつりと呟いた。
2対1で戦っているのだ。ルティナがどのくらいの強さなのかは分からないが、数ではこちらが不利だった。
「でも僕たちが出て行っても〜ルティナさんの足手まといに〜なるだけですよ〜」
「まあ、そうなんだけどね」
特に私など、紋様のせいで攻撃術が使えないし。
外界との境目であるこの場所は、先程まで私たちが居た所よりは比較的安全のようだった。
先程は戦闘の真下だったので落下物も頻繁に落ちてきていたが、ここは少し離れているため、殆ど落ちては来ない。
それに上の様子も見ることができる。私たちはこの場所で彼らの戦闘を、ただ見守ることしかできないのだ。
「では僕たちはその間に〜この結界を破れる方法でも〜探しましょうか〜?」
エドがそのようなことを提案してきたが、私にとっては予想外なことだったので驚いていた。