ゼロクエスト ~第2部 異なる者
まるで硝子の砕け散るような鋭い音が聞こえてくる。
静寂だった周辺からは津波の如く、一気に喧騒が押し寄せてきた。
目の眩むような目映い陽の光と、行き交う人々。先程までの見慣れた光景だった。
「待て!!」
頭上で怒鳴り声が聞こえてきた。見上げると建物の屋上を伝って逃げていく、二匹の後ろ姿が見える。
恐らく結界が解かれたために、逃げ出したのだろう。
この町は現在近衛兵により、厳重に警備されている。少しでも騒ぎが起きれば、直ぐに常駐している騎士たちが駆け付けて来るはずだ。
昨日もルティナが去った直後、数名の騎士たちが現れていた。
だから彼らはここに結界を張ったのだ。
魔物が結界を使って戦うのは、戦闘の邪魔をされたくない故に外部の者を遮断するためとか、中は術士のテリトリー内だから有利に戦えるなど、それらの理由が一般的だと言われている。
特にこのような街中では余計な騒ぎは避けたいはずだ。
結界は術士が創り出す異空間である。先程私たちが居た空間も建物や風景がこちら側と同じように見えてはいたが、別空間だった。
その証拠に崩れているはずのそれらの残骸が、こちら側では全くの無傷だ。
「ちっ、逃げられたか」
舌打ちとともに、ルティナが壁を伝って上から降りてきた。
「……まあいい。どうせ奴ら、またあんたたちを襲いに来るだろうしな」
「て、ソレちっとも良くないじゃない!」
私は即座に抗議の声を上げていた。
静寂だった周辺からは津波の如く、一気に喧騒が押し寄せてきた。
目の眩むような目映い陽の光と、行き交う人々。先程までの見慣れた光景だった。
「待て!!」
頭上で怒鳴り声が聞こえてきた。見上げると建物の屋上を伝って逃げていく、二匹の後ろ姿が見える。
恐らく結界が解かれたために、逃げ出したのだろう。
この町は現在近衛兵により、厳重に警備されている。少しでも騒ぎが起きれば、直ぐに常駐している騎士たちが駆け付けて来るはずだ。
昨日もルティナが去った直後、数名の騎士たちが現れていた。
だから彼らはここに結界を張ったのだ。
魔物が結界を使って戦うのは、戦闘の邪魔をされたくない故に外部の者を遮断するためとか、中は術士のテリトリー内だから有利に戦えるなど、それらの理由が一般的だと言われている。
特にこのような街中では余計な騒ぎは避けたいはずだ。
結界は術士が創り出す異空間である。先程私たちが居た空間も建物や風景がこちら側と同じように見えてはいたが、別空間だった。
その証拠に崩れているはずのそれらの残骸が、こちら側では全くの無傷だ。
「ちっ、逃げられたか」
舌打ちとともに、ルティナが壁を伝って上から降りてきた。
「……まあいい。どうせ奴ら、またあんたたちを襲いに来るだろうしな」
「て、ソレちっとも良くないじゃない!」
私は即座に抗議の声を上げていた。