ゼロクエスト ~第2部 異なる者
「あたしはルティナ。ルティナ・マーキス。職業は魔物ハンターだ」
彼女はそう名乗った。魔物ハンターは魔物専門の賞金稼ぎである。
「あ、それで昨日は〜あんなに派手に魔物を〜退治していたのですね〜」
エドは納得といった表情で両手をぽんっと叩いていたが、私は眉を顰めた。
「だからって、あんな風に退治しなくてもあなたが魔物ハンターなら、もっと簡単でスマートな方法があったはずでしょ。
いきなりだったから私、凄くビックリしちゃったんだけど」
「アイツがあたしの顔を見た途端に逃げ出したから、そのまま追いかけたまでさ。
魔物(ヤツ)らの間であたしは有名人らしいからね、腰抜けのお嬢ちゃん」
愛想もなく言った最後の言葉は、私への皮肉だろうか、やっぱり。
ということは昨日彼女の目の前で、座り込んでいたのが私だと憶えていたのか。
「それじゃあ、あんたたち……ええと……」
「私はエリス。エリス・フルーラよ」
「僕はエドワード・ライアンです〜。
そして隣にいるこの方は、アレックス・ヴォングさんと言います〜」
私たちは口々に自己紹介をした。ただアレックスだけは眉間に皺を寄せて腕を組み、未だに何かを考え込んでいる様子ではあるが。
「ああそう。じゃあ、あたしについてきな」
「………は? なんで??」
ルティナはごく自然な流れでそう言ってきた。だから反射的について行きそうになったのだが、私は寸前で何とか踏みとどまった。