ゼロクエスト ~第2部 異なる者
未だかつて、その内部に入れた者はいないと聞く。
それは魔物であっても、例外ではない。
ヤツのことは術士修行時代から追いかけていたが、足取りを掴むことができなかった。
そしてこの場合一番に考えられることは、自分で創った『結界(せかい)』の中へ雲隠れしているのではないか、ということだ。
ヤツは上位クラスの魔物だ。その可能性が一番高い。
大抵結界というものは、発動した術士の認証を得なければ、外部からは入れないようになっている。
それにあたしたちの目に見えていないだけで、地上の何処かには必ず存在しているものだ。
即ち、現実空間と少しずれた場所に、それが存在しているだけだと思えばいいだろう。
しかし、ただ存在しているだけではない。術士が周辺一帯を模し、意図的に創り出している空間なのだ。
だが模造できるのは精々、建造物や木々などの植物くらいで、食物や水、着衣などのようなものを創り出すことは不可能だった。
だから例えヤツがこの中へ雲隠れしていたとしても、永久に閉じ籠もっているはずがない。
何故ならヤツもヒトと同じように、食事などといった生理的欲求を持っているからだ。
もし外部との関係を完全に断ち切れるとしたら――伝説で例えるならばヒトや魔物、双方に当てはまらない存在――『精霊』くらいのものだろう。
『結界』とは、そのような場所だ。
あたしは長年ヤツについての情報を集めていたが、最終的に辿り着いたのが『モンスター・ミスト』の存在だった。
ソレが世界各地に最初に現れ出したのは、およそ12年前。ヤツの消息が途絶えた時期と、ピッタリ一致している。
だからヤツがそこにいるのではないかと睨んで追いかけ続けているのだが、出入りしている痕跡を未だに発見することができなかった。
そのため他の可能性も模索している最中ではあったが、モンスター・ミストがそこへ現れたと聞けば、他に手掛かりが掴めない以上は追うしかない。
サラと名乗った魔物に奇襲をかけられたのは、そんな時だった。
それは魔物であっても、例外ではない。
ヤツのことは術士修行時代から追いかけていたが、足取りを掴むことができなかった。
そしてこの場合一番に考えられることは、自分で創った『結界(せかい)』の中へ雲隠れしているのではないか、ということだ。
ヤツは上位クラスの魔物だ。その可能性が一番高い。
大抵結界というものは、発動した術士の認証を得なければ、外部からは入れないようになっている。
それにあたしたちの目に見えていないだけで、地上の何処かには必ず存在しているものだ。
即ち、現実空間と少しずれた場所に、それが存在しているだけだと思えばいいだろう。
しかし、ただ存在しているだけではない。術士が周辺一帯を模し、意図的に創り出している空間なのだ。
だが模造できるのは精々、建造物や木々などの植物くらいで、食物や水、着衣などのようなものを創り出すことは不可能だった。
だから例えヤツがこの中へ雲隠れしていたとしても、永久に閉じ籠もっているはずがない。
何故ならヤツもヒトと同じように、食事などといった生理的欲求を持っているからだ。
もし外部との関係を完全に断ち切れるとしたら――伝説で例えるならばヒトや魔物、双方に当てはまらない存在――『精霊』くらいのものだろう。
『結界』とは、そのような場所だ。
あたしは長年ヤツについての情報を集めていたが、最終的に辿り着いたのが『モンスター・ミスト』の存在だった。
ソレが世界各地に最初に現れ出したのは、およそ12年前。ヤツの消息が途絶えた時期と、ピッタリ一致している。
だからヤツがそこにいるのではないかと睨んで追いかけ続けているのだが、出入りしている痕跡を未だに発見することができなかった。
そのため他の可能性も模索している最中ではあったが、モンスター・ミストがそこへ現れたと聞けば、他に手掛かりが掴めない以上は追うしかない。
サラと名乗った魔物に奇襲をかけられたのは、そんな時だった。