ゼロクエスト ~第2部 異なる者
「その方法が見つかったからといって、それがあたしと何の関係がある」

あたしは表面上の冷静さを保ちながら、奴へ静かに問い返した。

「貴様は既に承知なのだろう?
人間どもがモンスター・ミストと呼ぶアレの中に、貴様の殺すべき相手がいることを」

「……!」

その言葉に絶句したあたしは、変わらず薄笑いを浮かべたままの奴の顔をしばらく凝視してしまった。

「ならば……あの中にヤツが居るとでも言うのか?」

「無論だ。でなければ妾が貴様を生かし、このような情報を与える理由がない」

自信ありげに断言したその言葉から、あたしの中の推測が確信へと変化していくのを感じていた。

「妾が貴様にその情報を提供する。そして貴様はゼリューを殺す。
だが断るというのであれば、妾が貴様をこの場で殺す。これが取引だ」

これは一方的な要求だ。無論、取引と呼べるようなものではない。

しかしその時のあたしには、そのようなことを気にしている余裕がなかった。
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