ゼロクエスト ~第2部 異なる者
当然、財布を掏られたせいだ。
このままではどうにも、腹の虫が治まりきれなかった。
というわけで代わりに、たまたま目の前に居合わせたこの魔物を、ぶった切ることにした。
しかしこのままではやはり、駆け付けて来る騎士たちに手柄を横取りされ、賞金も手に入らなくなる。
賞金首ではないから金額的には高が知れているし、財布も全てを掏られたわけではなかったが、ここまで派手に立ち回ってしまった手前、途中で横取りされるのは癪に障る。
あたしの魔物ハンターとしてのプライドも許されない。
要は騎士たちが来る前に、この場をずらかればいいだけのことだ。
そのために急いで遺体の回収に向かった。
あたしが地面に転がっている頭部を持ち上げた時、その前には呆然と座り込んでいる少女の姿があった。
焦点の定まらない大きな翠瞳が、あたしの持つ頭部をじっと見詰めている。まるでソレに魅了されてでもいるかのようだ。
(あれ? コイツ)
肩まである真っ直ぐな、金に近い栗色髪の少女。
その顔には見覚えがあった。今朝、道中で見かけた精霊術士だ。
あの時には生気に満ちあふれていたが、今は土気色の顔で小刻みに震えている。
「まさかこのような場所に〜魔物が紛れていたなんて〜思わなかったです〜」
側にいた少し太めの吟遊詩人がそれとは対照的に、朗らかな歌声で唄っていた。
このままではどうにも、腹の虫が治まりきれなかった。
というわけで代わりに、たまたま目の前に居合わせたこの魔物を、ぶった切ることにした。
しかしこのままではやはり、駆け付けて来る騎士たちに手柄を横取りされ、賞金も手に入らなくなる。
賞金首ではないから金額的には高が知れているし、財布も全てを掏られたわけではなかったが、ここまで派手に立ち回ってしまった手前、途中で横取りされるのは癪に障る。
あたしの魔物ハンターとしてのプライドも許されない。
要は騎士たちが来る前に、この場をずらかればいいだけのことだ。
そのために急いで遺体の回収に向かった。
あたしが地面に転がっている頭部を持ち上げた時、その前には呆然と座り込んでいる少女の姿があった。
焦点の定まらない大きな翠瞳が、あたしの持つ頭部をじっと見詰めている。まるでソレに魅了されてでもいるかのようだ。
(あれ? コイツ)
肩まである真っ直ぐな、金に近い栗色髪の少女。
その顔には見覚えがあった。今朝、道中で見かけた精霊術士だ。
あの時には生気に満ちあふれていたが、今は土気色の顔で小刻みに震えている。
「まさかこのような場所に〜魔物が紛れていたなんて〜思わなかったです〜」
側にいた少し太めの吟遊詩人がそれとは対照的に、朗らかな歌声で唄っていた。