ゼロクエスト ~第2部 異なる者
「神風護壁(ヴィン・マオ・デュウ)!
雷風烈破(フード・ヴァン・デスト)!」
術文を叫んでいるのは、昨日地べたで震えていた精霊術士の少女だ。
しかし攻撃術のほうは、相手に届いていないようだった。あたしが一目見ただけでも、出た瞬間にその威力が皆無だったのが分かる。
(やはりそうか)
昨日彼女に感じた『勘』は、どうやら当たっていたようだ。
だからといって、他人であるあたしにはどうすることもできない。
ただ一つ言えることは、今の状況では確実に彼女たちのほうが殺されるということだった。
シールドで防いではいたが、明らかに押されている。
別の奴と戦っている剣士も防戦一方で、共に劣勢なのが一発で分かった。
それに何より、相手の黒装束たちのほうが戦い慣れしており、能力にも差がありすぎだ。
「さて、どうするか」
あたしはその光景を眺め、独り言を呟きながら饅頭を口に運んでいた。
が、考える間もなく手が先に出ていた。黒装束の背後に向けて、思わず饅頭を投げ付けてしまったのだ。
目の前で弱者が一方的にいたぶり殺されるのを見るのは、あまり気分の良いものではない。
だから何となく、邪魔をしたくなったという気持ちもあった。
雷風烈破(フード・ヴァン・デスト)!」
術文を叫んでいるのは、昨日地べたで震えていた精霊術士の少女だ。
しかし攻撃術のほうは、相手に届いていないようだった。あたしが一目見ただけでも、出た瞬間にその威力が皆無だったのが分かる。
(やはりそうか)
昨日彼女に感じた『勘』は、どうやら当たっていたようだ。
だからといって、他人であるあたしにはどうすることもできない。
ただ一つ言えることは、今の状況では確実に彼女たちのほうが殺されるということだった。
シールドで防いではいたが、明らかに押されている。
別の奴と戦っている剣士も防戦一方で、共に劣勢なのが一発で分かった。
それに何より、相手の黒装束たちのほうが戦い慣れしており、能力にも差がありすぎだ。
「さて、どうするか」
あたしはその光景を眺め、独り言を呟きながら饅頭を口に運んでいた。
が、考える間もなく手が先に出ていた。黒装束の背後に向けて、思わず饅頭を投げ付けてしまったのだ。
目の前で弱者が一方的にいたぶり殺されるのを見るのは、あまり気分の良いものではない。
だから何となく、邪魔をしたくなったという気持ちもあった。