ゼロクエスト ~第2部 異なる者
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「貴様は、キラー・アイ……名はルティナと言ったか」
この黒装束は通り名だけでなく、あたしのファーストネームまで知っていた。どうやら只者ではなさそうだ。
あたしが前に進んで奴らに近付いた時、左眼にはいつもの不快感が襲ってきた。先程は距離があったため、魔物の気配を感知できなかったようだ。
精霊術士と吟遊詩人は昨日あたしの近くに居たが、感知してはいない。それに仲間である剣士の可能性も低い。
そう考えれば自ずと魔物は、黒装束の奴らだと断定できる。
ならばこちらの専売特許だ。
奴らはあたしが気付いたと思ったのか、あっさりとその正体を現していた。そしておもむろに腕を上げ、結界(フィールド)を創り出す。
あたしは精霊石の埋め込んである両手袋(グローブ)に術を掛け、近くの壁に穴を空けた。同様に上にも窪みを作り、それを足場にして屋上へと登っていった。
あの狭い通路内で挟み撃ちにされたら厄介だ。