ゼロクエスト ~第2部 異なる者
ランドラプトル。

指名手配書によれば、危険ランクDの魔物。

五段階ランク中の『D』だから、度数はそれほど高くはないのだが、指名手配の魔物であることに変わりはない。

しかしこの『ランドラプトル』という種族、主に生息しているのは海を渡った先にある、サラマタル大陸。

取り分けその大半を支配している、セルフィール帝国周辺のはずだ。

つまりこのアズテラス大陸では、殆ど見かけない魔物だった。

「ほう、我らを知っているのか」

「当たり前だ。あたしも伊達に長いこと、魔物ハンターをやっているわけではないからな」

などとハッタリで返答していたが、単に数週間前までセルフィール帝国へ滞在していたから、たまたま知っていたにすぎない。

指名手配書というのは魔物の場合、生息地域限定でギルドに提示される仕組みになっている。

だからこの大陸を拠点にしているあたしには馴染みがなく、海を渡らなければ知ることのない種族だった。

「それが何故、あいつらを襲う。誰の命令だ?」

「貴様の知るところではない」

(やはり簡単には口を割らないか)

だがその上の魔物――力の強いモノの命令で動いていることは、間違いないだろう。魔物自らの意思で生息地域を移動するというのは、滅多にないことだからだ。

「しかし倒すのは貴様が先だ。なあ、ボブ」

「そうだ、レグ。あいつらならここに居る限り、いつでも殺れるからな」

(……そういうことか)
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