姫と王子のらぶらぶ日和。【完】
なんとか王子の感情を読み取ろうと、じっと目を見つめる



真っ黒で、引き込まれそうな深み



形の良い唇が、だんだんとへの字にまがってゆく



「...何?」


久しぶりの王子の声に、少したじろぐ


王子の声はいつもより低くて、怒っているような、そして少し困っているような声色だった


「あ、ぇと..。」



言うことは自分の中で固まっていたはずなのに



いざ王子を前にすると、足がすくんで、喉が強張って、言葉にならない


< 28 / 62 >

この作品をシェア

pagetop