姫と王子のらぶらぶ日和。【完】
殴って蹴って、好き放題して、しばらくして彼女たちの動きは止まった


「....何、こいつ。全然楽しくない」


草の上に倒れこんで動かない私に、リーダーらしき彼女が見下しながら言う


「ちょっとくらい抵抗しなさいよ」


ふん、と鼻をならして私を見下す


「あんた、泣き叫びなさいよ、助けを呼びなさいよ、あのときみたいに王子ってさ!!」


くすくすと笑う声が彼女の後ろで聞こえる


「あ、ごめーん。駄目だったよねぇ!?」


そして髪を鷲掴みにして、私と目線を合わせた


「もう王子様は助けに来てくれないもんねぇ!!!」


その言葉に、思わず表情が崩れそうになった


駄目、駄目、泣いちゃダメ


ここで泣いたらこいつらの思うつぼだ


絶対に、絶対に泣くもんか


『王子はもう私を助けてくれない』


それは、何度も自分を言い聞かせるために使った言葉なのに


どうしてこんなにも、胸が痛むのだろう


どうしてこんなに、胸が苦しいのだろう



「王子様は、もう絶対にあんたを助けになんかこねぇんだよ、馬ぁ鹿!!」




そして再び、水の中にいるかのような息苦しさが私を襲った


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