姫と王子のらぶらぶ日和。【完】
「な、ほんとにいい訳?これ犯罪じゃないん?」


「何いってんの、バレなきゃいいだけの話でしょ?」


「そうか?じゃあ遠慮なく...」


男が再び一歩、一歩と歩みを早める


ふいに私の腕を掴む


「っ、やっ..」


汗でべとべとで、ぬるっとした


黒い大きな手


振り払おうとしても、それは出来なかった


誰でもいい、誰でもいいから、私を助けて!!


そんなことを心の中で叫んだけど、それは叶わなかった


「そんな怯えんなて。力抜いてくれんと、面倒なんやて」


「いいじゃない、そのほうが燃えるんじゃない?」


「早くコイツなかせてよ、たくさんいじめたのに、全然抵抗しないからつまんないんだよ」


女が先をせかすように言う


やめて、やめて、あっちに行って


話してるうちに逃げてしまおうかとも考えたけれど、やっぱり足は動かなかった


体を小さくして震える私の姿は、どれだけ滑稽なものなのだろうか



< 46 / 62 >

この作品をシェア

pagetop