姫と王子のらぶらぶ日和。【完】
「ねぇ、いつまでそこにいるつもり?」


王子の私を抱きしめる力が強くなる


「俺たちの視界から出ていけ、って、事なんだけど?」


そこで一人の女子生徒が、勢いよく駈け出した


それが合図になったように、他のみんなも一斉に駈け出した


王子が短く息を吐いた


久しぶりに間近でみる王子の色っぽい仕草に、顔をあげられなくなった


「....姫」


王子の切なげな、息っぽい声が私の耳に届く


「ごめん、な」


王子の言葉の意味を理解して、がばっと勢いよく顔をあげた


「...っ、な、んで、王子が謝るの」


未だ潤んだ目で、顔の熱が引かないうちに顔をあげたことに、少し後悔しながらも私は問う


「...姫を、傷つけた」


「傷ついてなんかっ...」


「姫を、守れなかった」


違う、と否定したかった、だけど、それよりも早く、王子が口を開く


「姫が、好きだよ」


今度は私が息をのんだ


「姫が、好きなんだ」


だから、と王子は続ける


「俺以外の男のことなんて、見ないでよ」


苦しげに細められた瞳を見て、何故が心が痛んだ
< 55 / 62 >

この作品をシェア

pagetop