姫と王子のらぶらぶ日和。【完】
「他の、男って?」


心当たりがなくて、王子に聞き返す


「クウガ」


聞き覚えのない名前が王子の口から吐かれる


疑問符を頭に浮かべる私に気付いたのか、王子は続けた


「前、姫が寝言で言ってたんだ、」


「...なんて?」


「クウガ、好きだよって」


また私は小首を傾げてきょとんとした


「くうがクンなんて、知らないよ?」


「ぇ、でも..」


一瞬考えて、王子は何やらくうが好き、くうが好き、と繰り返し呪文のように唱え始めた


気味悪くて、怖くなって逃げだしそうになったのは王子には秘密


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