ただ空回り。
そして、再び席替えをした。
隣になったのは賢哉と仲のいい、大崎悠太[おおさきゆうた]。
女子とはしゃべらないイメージの男子だった。
後ろは桃乃だった。
久しぶりに席が近くなったこともあり、嬉しくてずっと話していた。
そして桃乃の隣は吉永くんだった。
窓から離れたこの席では外を見ることはせず、悠太と話していた。
ある日の月曜日、悠太の機嫌がよかった。
「なんかいいことでもあった?」
「い、いや。別に~」
確実にあったな。
悠太は秘密を隠せない主義だった。
「あ、彼女できたとか?」
英語の授業中にノートをとりながら聞くと、
動揺したのか悠太は筆箱の中身を床にばらまいた。
「図星か~」
笑いながらそういうと、うるせぇ、と照れたように言った。