ただ空回り。
休み時間など、弘毅は他のクラスに遊びに行くので静かになる。
他の男子らも遊びに行くことが多くクラスは静かになる。
そんなときが私の読書の時間だ。
梨那と恋バナをすることが多いけど、今日は一人で静かに読書タイム。
窓側の列で一番後ろの私の席は暖かい。
寒くなり始めた季節には過ごしやすい席だった。
そんなとき、誰かが横に座った。
「あれ、弘毅は?」
紛れもなく、吉永だった。
「ん、隣のクラス言ったっぽい」
右半身が緊張している。
本を持っている手が小刻みに震えた。
「ラクガキしちゃおー」
とイラズラに、吉永は弘毅の数学のノートに絵を描き始めた。
どうしようもなく幸せな時間だった。