ただ空回り。
その手に自分の手を重ねる。
「よろしくね」
強く握った。
ぬくもりを忘れないように。
決して離さないように、と。
大切なものはすぐ側にある。
いや、違う。
大切だからこそすぐ側にあってほしい。
だから、
人は人を自分だけのものにしようと思い、
好きだからこそ閉じ込めておきたくなる。
大切なものは側にありすぎて気づかない。
だから人は人の想いを傷つけてしまう。
叶わないからこそ、一番でありたい。
あなたのすぐ側で、あなたの一番でありたい。
一番大切なものは、本当にあなたの隣にあるのですか?
あなたは知っていますか?
本当に大切なものは、本当に近くにあることを。
-END-