恋人ごっこ





 「んっ」



 噛むような乱暴なキスがあたしに降りかかってきた。
 抵抗してもキスは深まるだけだった。


 「は・・・んっ」



 ぞっとした。
 好きでもない人に無理やりキスされて、聞いたこともない声を出す自分自身に。



 ファーストキスなのに・・・。
 気付けば涙がこぼれていた。



 「ねえ、無理やりキスされて気持ちいいの?」



 さわやかな笑顔がさらにあたしを追い詰める。
 体が震えて声も出ない。



 すると先輩はあたしの首筋に顔をうずめた。
 チクリと軽い痛みが走る。


 「!?」

 「俺のモノって印つけたから」


 そう一言言い残して、先輩は屋上から姿を消した。


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