恋人ごっこ
「先輩のせいだよ!ひどい・・・最低だよ!もう、どっかいってよ!」
先輩が直接悪いんじゃないって分かってても止められなかった。
「へー、俺が原因なんだ」
は?
しれっとした顔で答えてみせた、夏樹先輩に言葉が出ない。
「じゃあ責任とる。俺と付き合おう?」
「何それ・・・」
「もう文哉なんていいじゃん。あいつ最低だよ?」
文哉が最低?
まただ、先輩の瞳には感情がない。
ううん、一瞬だけひどく悲しそうに見えた。
気のせいかな・・・。
そのとき急に視界が真っ白になって、あたしは意識を手放した。