恋人ごっこ
「・・・うん」
気がつけば、中学生になって初めて文哉と喋った公園に来ていた。
文哉は話しかけても全然反応してくれなくて、
あたしはそれでも諦めずに話しかけてたっけ。
1年かけてようやくまともに会話してくれるようになったんだよね。
そして、あの時と同じように片隅のベンチに並んで座った。
「明日美さんは陸上部のマネージャーなんだ。んで、夏樹先輩とは中学からずっと付き合ってた。俺さ、二人がすげえ羨ましかったの。ずっと想いあっててお互いのこと大事にしててさ」
「うん」
「だから子供できたかもって明日美さんから聞いたときはマジで驚いた。でも、唯には関係ないって思ってて、だから・・・こんなことになるなんて想像もしてなかった。光輝さんから、『唯ちゃん襲うから』って電話きたとき、すげえ後悔した・・・なんで、もっと唯のこと信じてやれなかったんだろうって」