恋人ごっこ
彼はゆっくりとあたしの横に腰を下ろす。
「あたしと文哉ってさ、全然つり合ってないよねー」
口に出したら余計に切なくなる。
「どーでもいいし」
そう言う文哉の表情からは何も読み取れない。
ウソの好きでも嬉しい。女嫌いの文哉があたしを女として見てないから選んだとしても嬉しかった。
周りからだって、「よく付き合えたね」とか「早く別れろ」とかひどいよう。
下を向くあたし。
「どうかした?」と急に顔をのぞきこまれた。
「な、なんでもない!」
思わず赤面してしまう。
「そっか。俺、先教室戻るわ」
「うん・・・」