☆切れない糸☆
☆いつもの朝☆
『おっはー』
聞きなれた大声で目がさめた。
目をあけるとそこにいたのは親友の紗紀(さき)だ。
『早くしないと遅刻だよーーー』
『あ゛っっっ』
『おっと由紀(ゆき)さん高校生活最初の日に遅刻かーーー』
紗紀の言葉を無視して急いで着替える。
机の上にはパンが置いてある。
きっとお兄ちゃんが置いてくれたんだと思う。
パンを口にくわえ紗紀の手をひいて階段をおりる。
階段がギシギシ言う。
私の家は建ってからもう五十年たっている。
けっこうボロいけど中はきれいだから私は嫌いじゃない。
そんな事を思いながら階段を下りる。