ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
壁のように固く、ひんやりとしている。


これが結界か……と怜央は心の中で呟いた。


結界を突破しなければ、話にならない。


でも、どうやって中に入る?

考えあぐねていたその時、結界に触れていた部分が怜央に共鳴するように振動した。


そしてその振動は結界全てに広がっていき、透明だったバリアが一瞬、薄紫色に色づいた。


そして、怜央の目の前の部分だけがビニール袋が熱に溶かされていくように、結界に大きな穴ができた。


なにが起こったのか分からなかったが、これを逃す機会はないと、穴が空いた部分に入り結界内に入り込んだ。


怜央が入ると、空いた穴が塞がった。


入ってきた部分に手を触れると、壁のように固い。


(入れたのはいいが、閉じ込められたか?)


戻ることのできなくなった外の世界を見て、怜央は笑うように口元を歪ませた。


別に構わない。


もう、戻ろうとは思わない。


怜央は学校を正面に見据え、深呼吸を一つ落として校門をくぐった。

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