ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
メールには、生贄の儀式は校庭で執り行われると書いてあったので、怜央はまっすぐに校庭へと向かった。


肌に突き刺さるような邪悪な気配。


校庭に近付く度に、その気配は濃くなっていった。


校庭の真ん中に白いロープで十字架に磔(はりつけ)にされている人の姿があった。


頭をがっくりと項垂れていたので、顔は見えなかった。


けれど、その姿形は怜央がよく知る人のものだった。


「茜っ!」


怜央は叫び、走って駆け付けた。


ロープでぐるぐるに巻かれ、身体からは生気が感じられなかった。


「今解くからな! 待ってろ!」


怜央が頑丈に結ばれたロープを解き、自由にしてやったその時だった。
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