ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
レオが一歩踏み出すと、巨大な竜の形をした炎がレオに牙を向けて襲ってきた。


レオは頭から竜に飲み込まれた。


しかし、飲み込まれた方は竜の方だった。


レオは青白い顔で、悲しみの表情を変えることなく、竜を自らの体の中に取り入れ消滅させた。


「馬鹿な……」


赤銀が一歩退く。


レオの美しい瞳から一筋の涙が零れた。


赤銀が身の危険を感じて、逃げようとすると、巨大な炎が赤銀を囲んだ。


「私の炎を取り込み、自らの力としたのか!?」


赤銀は壁のように巨大な炎を見上げ声を上げた。


赤銀は大きな勘違いをしていることに気が付いていなかった。


魔力の属性を持つのは一般のヴァンパイアだけだ。


王族は属性なんてない。


いわば全ての力を最大限の力で操ることができた。


赤銀は自らも炎を出し、レオの炎に対抗しようとしたが、赤銀の炎は吸い取られていく一方だった。


そして吸い取られた炎は更に勢いを増していく。
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