ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
―――……


「できたぞ」


ムスっと怒っているような声が聞こえ、バドはドアを開けた。


そこには正装を見事に着こなした、麗しい美男子がいた。


もしもここに年頃の女の子たちがいたら甲高い歓声が沸いていたに違いない。


レオはヴァンパイアに覚醒したことにより、大人っぽい色気を纏う男に成長していた。


「大変よく似合っております」


バドが心からの言葉を述べると、レオは「ふんっ」と不満気に鼻を鳴らして帽子についている羽を邪魔くさそうに振り払っていた。


その様子が父であるヴラドにそっくりだったので、バドはレオに気付かれぬようにこっそりと微笑んだ。


「さて、それでは行きましょうか」


バドが歩きだすと、不満気だったレオの顔から余裕が消えた。


自然と顔が強張り、緊張しているのが分かる。


けれど、口一文字に結びバドの後ろを颯爽と歩くレオの姿は、緊張感を帯びたことにより一層麗しく威厳に満ちた姿となったのだった。
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