ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
王宮内には、甲冑に身を包んだ衛兵が多くいた。


彼らの殆どは人間と変わらない姿なのだが、時々毛むくじゃらの大男が衛兵と同じ甲冑を着て、同じように警備しているので、レオは度胆を抜かれた。


レオはこっそりとバドに耳打ちした。


「アレもみんなヴァンパイアなのか?」


アレ、というのが毛むくじゃらの大男を指していることにバドはすぐに気が付いた。


「いいえ。あれはコクーンと呼ばれる魔族です。
ヴァンパイアは人間とさして見た目は変わりません。

昔は王宮内にはヴァンパイアしか入れなかったのですが、現王のラシード様が種族間の差別をお嫌いになられる方で。
ラシード様が王になられてから、積極的にコクーンも王宮で働けるようにしたのです」


「コクーン?」


「ヴァンパイア以外の魔物はコクーンと呼ばれます。
厳密に言えばヴァンパイアも魔物なのですが、差別化を図りたかったのでございましょう」


「じゃあ、日向もコクーンとやらの部類に入るのか?」


「ええ、そうです」


「血の儀式……で日向は狼人間になったんだよな?」


「はい」


「血の儀式ってなんだ?」
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