ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
「やはり黒幕はこいつだろうか」


声の主の一人がヴラドだということに気が付くと、レオの胸は容赦なく高鳴った。


「ええ。
レオ様が人間界からいなくなってから急に頭角を現しましたからね」


ラシードの声。


どうやらヴラドとラシードの二人で話しているらしい。


「赤銀は捨て駒か。
どうりでな。簡単すぎると思ったんだ」


……赤銀が捨て駒? 


一体何を話しているんだ?


レオはバレないように、こっそりと顔を出して二人の様子を覗き見た。


部屋の真ん中には大きな水槽が置かれていた。


宝石のようにキラキラと光る水槽が下にあり、視線を上にあげると1メートルほどの大きな鏡が空中に浮かんでいた。


その鏡には一人の美しい少年が映っていた。


その少年は、レオが通っていた高校の制服を着ている。


どこかで見たことのある顔だなと思った。


しかし、こんなに整った顔をした生徒がいれば目立っていたはずだ。
< 216 / 370 >

この作品をシェア

pagetop