ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
「首輪してるから飼い犬? 迷子かな?」


こんなに大きな犬が繋がれずにウロウロしていたら、犬嫌いな人や小さな子供は怖いだろうと思った。


茜は動物好きなので、どんなに大きくても怖くはない。


むしろ大きければ大きいほど可愛いと思う。


「おいで」


茜は腰を屈んで、手を差し伸べた。


犬は茜をじっと見つめ、踵を返して去っていってしまった。


「怖がらせちゃったかな」


先ほど見た黒い影の正体は犬だったのだと思うと、少し残念な気持ちになった。


「私は何を期待していたんだろう」


茜はため息を吐き、学校へと向かった。
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