ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
犬は差し伸べられた手をくんくんと嗅いで、頬をすり寄せた。


「可愛い!人懐っこい子だね。
やっぱり飼い犬かな?」


茜が撫で撫でしてあげると、犬は大きく尻尾を振って茜の顔をペロペロと舐めはじめた。


前足をあげ抱きついてきたので、茜は犬の体重を支えきれなくなって後ろに倒れた。


犬は興奮した様子で茜を押し倒し、顔を舐める。


「あはは、くすぐったい、やめて~」


茜が笑いながら犬とじゃれていると、「おい日向!」と怒りの声が上から降ってきた。


茜が犬の横から顔を出すと、犬に睨み付けているレオの姿があった。


「か、神無月君っ!」


茜は慌てて立ち上がった。
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