ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
犬は、レオの顔を見るとヤバイ!と思ったのか、慌てて茜の体から離れた。


茜は背中についた砂埃を払い、スカートを直すとレオに向かって微笑みかけた。


「この犬、日向(ヒナタ)っていうの?」


レオはいまだ直らない不機嫌な表情で黙ってコクリと頷いた。


「神無月君の家の犬なんだ」


「いや、のら犬。
なんでか懐かれちゃって。
名前ないと不便だから勝手につけた」


レオが話してくれたことに茜は嬉しくなった。


例え目線は決して合わそうとしなくても。


少しでも長く話していたくて、必死に会話を探した。


「のら犬? でも首輪してるよ」


「首輪付けてたら保健所に通報される確率減るかと思って」


「神無月君の首輪なんだ。優しいんだね」


レオはぷいと顔を背けた。
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