ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
茜とレオは並んで歩き始め、その後ろに日向がトコトコとついてきた。
茜は緊張を隠そうと舞い上がって、レオにたくさん質問をしたが、レオは軽く受け流すだけだった。
会話はたいして盛り上がらず、時々気まずい沈黙が二人を包み込んだ。
それでも早く家に着いて、この気まずさから解放されたいとは思わなかった。
むしろ、遠回りでもして一秒でも多くレオと一緒にいたかった。
でも、そんな勇気も出ず、家に到着してしまった。
「ここ、私の家」
レオは何も言わずに茜の家を見上げた。
「それじゃ……。ありがとう」
茜は名残惜しい気持ちでいっぱいになりながらも、レオに手を振った。
レオは「じゃあ、また明日」と両手をズボンのポケットに入れながら素っ気なく言った。
それでも茜は、嬉しかった。
明日また会えるんだ。
それだけで満たされた。