ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
茜が家の中まで入るのを見届けると、レオはポケットから手を出して大きなため息を吐いた。


そして、ウロチョロと歩き回っていた日向に鋭い視線を向ける。


日向もその視線に気付いたのか、尻尾を下げ、さりげなくレオに背を向けた。


「おい、日向。なんだアレは」


「あ、アレってなんやねん」


「しらばっくれる気か。
茜を押し倒して舐めてただろっ!」


「あれはコミュニケーションやん?」


「なにがコミュニケーションだ!
茜が日向のことを犬だって思ってることをいいことにだな……」


「や、役得ってやつやん?」


「なにが役得だ! 殺すぞ!」


レオが日向に襲いかかろうとすると、日向はひょいと身軽にすり抜けた。
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