ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
日向は小さな弟の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。


謙太は嬉しそうな顔をして甘えるように、日向に抱きついてきた。


日向は謙太の脇腹をコチョコチョと撫でると、謙太は楽しそうな声で笑った。


昔もよく、こうやって二人で遊んでいた。


日向は謙太を抱き上げ、ほんの少し重くなった身体に愛おしさを感じた。


「おっきくなったなぁ~。
すぐに大きくなるんやろうなぁ」


「僕いっぱい牛乳飲んでるもん」


「そうか~。偉いなぁ謙太は」


「えへへ。
あれ?どうしてお兄ちゃん僕の名前知ってるの?」


しまった、と思ったその時だった。


「謙太~! 何やってるの?」


謙太の笑い声が聞こえたのか、玄関から母親が出てきた。


母親は、日向を見ると一瞬固まり、不審そうに小さくお辞儀した。
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