ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
「ああ、良かった。ぶつからなかったんだね」


茜はロッカーが一瞬止まり、横に倒れたにも関わらず、不思議だとは思わなかったようである。


どうやらロッカーが倒れる時、怖くて目を瞑っていたらしい。


それにしても前に倒れていたロッカーが横に倒れたのだから、不思議に思わない茜の方がよほど不思議体質だ。


レオは初めて茜が鈍感で良かったと思った。


假屋崎はレオを咎めることもなく、平気な顔に戻っていた。


まるで何も起こっていないかのように。


レオは假屋崎の何食わぬ顔を見ながら、一つの確信を得た。


一瞬ではあるが、触れた魔力はおどろおどろしいものだった。


假屋崎は、想像以上の魔力の持ち主だ。

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