ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
「一人にしてくれ」


怜央はふらふらする足取りで、音楽室を出ようとした。



「でも……」


心配そうな茜の声に、怜央は振り向かずに大きな声で怒鳴った。


「ついてくるな!!


いいか、誰もついてくるなよ。一人にしてくれ」


今、誰かが側にいたらめちゃくちゃに壊してしまいそうだった。


具体的に何がどうなるのかは自分でも分からない。


ただ凶暴な欲望を自分の中に押しとどめるので精一杯だった。


怜央がいなくなった音楽室には気まずい静寂が訪れた。
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