蹴球魂!!!!
「はいっ、ボール♪」


あたしがリフティングを苦手としているなんて、まったく知らない大輔先輩が、屈託のない笑顔であたしにボールを渡した。


「ゔ…」

部長と大輔先輩が、ジーッと見つめてくる。

…これはまさしく、逃げられない状況ってやつですね…。


あたしは、意を決してリフティングを始めた。

が。


ーボスンッ


あたしの足の上でバウンドしたボールは、情けない音をたてて地面へ着地した。


「え…」

「6回…??」


虚しくも、テンテンッ…と弾むボールは、まるでリフティングが出来ないあたしをあざ笑うかのようだった。

…てゆーか、6回ですか。


「円ちゃん…あの、え…っと…」


部長も大輔先輩も、何も言えなくなってる。

そりゃあ、そうなるよね。

サッカー部のFWやってた奴が、実はリフティング6回しか出来ないなんて…。


「と、とりあえずありがとう。練習戻っていいよ」

「そ、そうそう!!お疲れっ☆」


2人の言葉に、あたしは…。


「ありがとうございました…」


あたしはそう返すしかなくて。

それが凄く情けなくて、虚しくて。


…リフティング、もっと練習しとけばよかったなぁ。


あたし、やっぱり馬鹿だ。

< 108 / 394 >

この作品をシェア

pagetop